「羆嵐」 吉村昭
吉村昭の数ある本の中で「羆嵐(くまあらし)」をなぜ選んだのか考えてみる。それはやっぱり、これから北海道の5山を登ろうと思っているからだろう。中でも日高の幌尻岳のあたりには羆が多いイメージがある。ヒグマによる事故とはどういうものか知りたかった。
1915年11月、苫前町三毛別(さんけべつ)地区六線沢でヒグマに襲われて胎児を含む七人が犠牲になった。旭川営林局農林技官だった木村盛武氏は仕事の傍ら、この事件の調査発掘に努め、当事者への克明な聞き取りを重ねた。氏がまとめた「害獣史最大の惨劇苫前羆事件」(1964年)を参考資料に小説にしたのが「羆嵐」である。木村氏は「慟哭の谷」(共同文化社)という本も出版している。
「羆嵐」は読み始めると引き込まれて、ハラハラと一気に読んでしまった。ただし後になって、この小説は何に焦点をあてたかったのか、多少考えさせられた。ヒグマの恐ろしさだろうか。それとも人間なのだろうか。印象的だったのは熊を討つために集まった200人もの人間がヒグマの前では無力だったのに、一人で撃ちとめてしまう銀四郎という初老の熊撃ちの動きだ。襲われた六線沢の15軒の開拓農を主人公にして、野生と隣り合わせに生活する人々の苦労と恐怖に焦点を持って行ってほしかった気もする。
ヒグマが北海道から居なくなった方がいいと、真剣に言う人がいる。確かにこんな事件を知れば、そうかなとも思う。けれども、うまく共存できないかなと思う。ヒグマは基本的には用心深くて、人間に近づこうとはしないようだ。ただし突然会うとびっくりして攻撃に出ることがある。だからなるべくヒグマをびっくりさせないように気を付けるべきなのだ。また人間の食べ物の味を知ってしまうと深追いしてくるから気をつける必要がある。1970年7月、福岡大の学生5人が襲われた時にヒグマは、最初ザックの荷物の食べ物の方を狙っていた。しかし学生たちはザックを離そうとしなかった為に、結果として3人の命が奪われたことになる。
今までの被害は平均すると毎年一人ぐらいだろうか。登山者が犠牲になる割合は比較的少ない。一方で獲物を追ったり山菜を採っている人が被害にあうことが多い。それらの人たちの方がヒグマをびっくりさせることが多いからだ。
2013年の北海道庁が道内5800人のハンターに行ったアンケートによれば、最も多いのは道東・宗谷地域の1153~3386頭、日高・夕張地域は464~1532頭、渡島半島は379~890頭となった。ハンターの76%が「(ヒグマが)増えている」と回答したとある。
1915年11月、苫前町三毛別(さんけべつ)地区六線沢でヒグマに襲われて胎児を含む七人が犠牲になった。旭川営林局農林技官だった木村盛武氏は仕事の傍ら、この事件の調査発掘に努め、当事者への克明な聞き取りを重ねた。氏がまとめた「害獣史最大の惨劇苫前羆事件」(1964年)を参考資料に小説にしたのが「羆嵐」である。木村氏は「慟哭の谷」(共同文化社)という本も出版している。
「羆嵐」は読み始めると引き込まれて、ハラハラと一気に読んでしまった。ただし後になって、この小説は何に焦点をあてたかったのか、多少考えさせられた。ヒグマの恐ろしさだろうか。それとも人間なのだろうか。印象的だったのは熊を討つために集まった200人もの人間がヒグマの前では無力だったのに、一人で撃ちとめてしまう銀四郎という初老の熊撃ちの動きだ。襲われた六線沢の15軒の開拓農を主人公にして、野生と隣り合わせに生活する人々の苦労と恐怖に焦点を持って行ってほしかった気もする。
ヒグマが北海道から居なくなった方がいいと、真剣に言う人がいる。確かにこんな事件を知れば、そうかなとも思う。けれども、うまく共存できないかなと思う。ヒグマは基本的には用心深くて、人間に近づこうとはしないようだ。ただし突然会うとびっくりして攻撃に出ることがある。だからなるべくヒグマをびっくりさせないように気を付けるべきなのだ。また人間の食べ物の味を知ってしまうと深追いしてくるから気をつける必要がある。1970年7月、福岡大の学生5人が襲われた時にヒグマは、最初ザックの荷物の食べ物の方を狙っていた。しかし学生たちはザックを離そうとしなかった為に、結果として3人の命が奪われたことになる。
今までの被害は平均すると毎年一人ぐらいだろうか。登山者が犠牲になる割合は比較的少ない。一方で獲物を追ったり山菜を採っている人が被害にあうことが多い。それらの人たちの方がヒグマをびっくりさせることが多いからだ。
2013年の北海道庁が道内5800人のハンターに行ったアンケートによれば、最も多いのは道東・宗谷地域の1153~3386頭、日高・夕張地域は464~1532頭、渡島半島は379~890頭となった。ハンターの76%が「(ヒグマが)増えている」と回答したとある。
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